電気方式と、電線の太さ(または長さあたりの抵抗値)・電源電圧・こう長・電流を入力してください。電圧降下・電圧降下率・終端(負荷側)の電圧を計算します。
このページでできること
- 電線の太さ(断面積mm²・sq)と、こう長(電線の片道の長さ)・電流から、電圧降下(V)・電圧降下率(%)・終端(負荷側)の電圧をまとめて計算できます
- 第一種電気工事士試験などで定番の、内線規程の簡略式(単相2線式なら \(e = \dfrac{35.6 L I}{1000 A}\))で計算します。単相2線式・単相3線式・三相3線式・三相4線式・直流に対応しています
- 電線の太さは「よく使う電線サイズ」(VVFの単線1.6mm・2.0mm・2.6mm、2sq・5.5sq・8sqなどJISの標準サイズ)から選ぶだけでも入力できます
- アルミ線や特殊な電線は、カタログの導体抵抗(Ω/km・Ω/m・mΩ/m)から直接計算できます(「電線の抵抗値から」モード)。同じ電線を2〜4本並列に使う場合の計算もできます
- 計算結果と一緒に、こう長と電圧降下の関係のグラフ(「電源電圧の5%」の目安線つき)も表示します
この計算は何の役に立つ?
「こう長10m・断面積2mm²・電流15Aの単相2線式回路の電圧降下は?」——この35.6式(と三相の30.8式・単相3線の17.8式)は、第一種電気工事士の筆記試験や電気工事施工管理技士の試験で繰り返し出題される定番です。答えは \(35.6 \times 10 \times 15 \div (1000 \times 2) = 2.67\)(V)。第二種電気工事士の試験では、電線1本あたりの抵抗 \(r\) から \(e = 2 I r\) の形で求める問題がよく出ますが、考え方はまったく同じです。
数値を変えて何度か手を動かして計算してみると、「こう長と電流に比例し、断面積に反比例する」という式の構造が体で覚えられます。
分電盤から遠い場所に機器を付けるとき、電線が細いままだと電圧降下が大きくなりすぎることがあります。例えば三相200V・30Aの動力を5.5sqでこう長50m引くと、電圧降下は約8.4V(4.2%)です。
実際の設計では内線規程の許容値や許容電流・施工条件も併せて検討しますが、「この距離とこの電流なら、この太さで足りそうか」という当たりを付けるのにこの式が使われています。
キャンピングカーや太陽光の12V・24V系では、電圧降下の影響が家庭の100Vよりずっと大きくなります。例えば2sqの線で片道5m・5Aを流すと降下は約0.45Vですが、12V系ではこれだけで約3.7%です(100V系なら0.45%)。
「電圧が低いほど太い線が必要」という直流配線の鉄則を、数字で確かめられます。
断面積0.75mm²の細いコード10mに10A(1000W級の家電)を流すと、電圧降下は約4.7V——コンセントに100V来ていても、機器には95V程度しか届きません。ドライヤーや電子レンジを長い延長コードで使うとパワーが落ちるのはこのためです。
細いコードに大電流を流すと発熱の危険もあるため、大電流の機器はできるだけ壁のコンセントの近くで使うのが安全です。
自宅にEV充電用の200Vコンセントを付ける場合、駐車場までのこう長が長くなりがちです。例えば8sqの銅線でこう長30m・30Aなら、電圧降下は約4.0V(2.0%)に収まります。
工事そのものは電気工事士に依頼することになりますが、見積もりの妥当性を理解したり、充電位置を検討したりするときにこの計算が役立ちます。
式と図
用語・記号の解説
記号
| \(e\) | イー | 電圧降下(V)。電線自体の抵抗のために、電源から負荷へ届くまでに失われる電圧です。内線規程の式でよく使われる記号です。 |
| \(L\) | エル | こう長(m)。電源から負荷までの電線の「片道」の長さです。往復2本分は式の係数が織り込んでいます。 |
| \(I\) | アイ | 電流(A)。回路に流れる負荷電流です。 |
| \(A\) | エー | 電線(導体)の断面積(mm²)。現場では「sq(スケア)」とも呼びます。太いほど抵抗が小さく、電圧降下も小さくなります。 |
| \(R\) | アール | 電線1mあたりの抵抗(Ω/m)。電線カタログでは「導体抵抗」としてΩ/km表記で載っていることが多い値です。 |
| \(K\) | ケー | 電気方式で決まる係数。直流2線式・単相2線式は2、三相3線式は \(\sqrt{3}\)、単相3線式・三相4線式(中性線との間)は1です。 |
| \(N\) | エヌ | 並列導体数(本)。1相あたり同じ電線を何本並列に使うかです。並列にすると電線の抵抗が \(\dfrac{1}{N}\) になるため、電圧降下も \(\dfrac{1}{N}\) になります。 |
| \(V\) | ブイ | 電源電圧(V)。送り出し側(分電盤など)の電圧です。 |
| \(\varepsilon\) | イプシロン | 電圧降下率(%)。電圧降下が電源電圧の何%にあたるかを表します。 |
| \(\sqrt{3}\) | ルートさん | 約1.732。三相3線式の線間電圧の計算に現れる値で、三相の3本の電流が互いに120度ずれていることから出てきます。 |
用語
| 電圧降下 | でんあつこうか | 電線自体にもわずかな抵抗があるため、電流が流れると電線の途中で電圧が失われ、負荷(コンセントや機器)に届く電圧が電源より低くなること。電線が細い・長い・電流が大きいほど大きくなります。 |
| こう長 | こうちょう | 電線路の片道の長さ。漢字では「亘長」と書きますが、「亘」が常用漢字でないため、内線規程などの規格・試験でも「こう長」と表記されます。 |
| sq (スケア) |
スケア | 電線の断面積mm²の現場での呼び方。square(スクエア)ミリメートルの略で、「5.5sq」は断面積5.5mm²のより線を指します。 |
| 単相 | たんそう | 電気の送り方の1つで、家庭のコンセントに使われる2本(または3本)の電線で送る方式。 |
| 三相 | さんそう | 電気の送り方の1つで、工場のモーターなど大きな動力向けに、120度ずつずれた3つの交流を3本の電線で送る方式。 |
| 単相3線式 | たんそうさんせんしき | 電圧線2本+中性線1本の3本で送る方式。現在の住宅への引き込みはほとんどこれで、中性線と電圧線の間から100V、電圧線同士の間から200Vが取れます。 |
| 平衡負荷 | へいこうふか | 単相3線式や三相で、各相(各線)につながる負荷の大きさが揃っている状態。平衡していれば中性線に電流が流れないため、単相3線式・三相4線式の係数は1本分の17.8になります。 |
| より線 | よりせん | 細い銅線を何本もより合わせた導体の電線。2sq・5.5sqのように断面積で呼びます。 |
| 単線 | たんせん | 1本の太い銅線を導体にした電線(VVFケーブルなど)。1.6mm・2.0mmのように直径で呼びます。 |
| VVFケーブル | ブイブイエフケーブル | 住宅の屋内配線で最も広く使われるビニル絶縁ビニルシースの平形ケーブル。単線の直径1.6mm(断面積約2.0mm²)・2.0mm(約3.14mm²)・2.6mm(約5.3mm²)がよく使われます。 |
| 内線規程 | ないせんきてい | 屋内配線の設計・施工の技術的な基準をまとめた民間規程(一般社団法人日本電気協会)。このページの簡略式や、電圧降下の標準的な許容値もここに定められています。 |
| 電気工事士 | でんきこうじし | 電気工事に必要な国家資格。コンセントの増設や屋内配線などの工事は、資格のない人が行うことは法律で認められていません。この計算機はあくまで学習・設計検討の目安に使ってください。 |
前提として理解しておくといいこと
このページの計算を「意味がわかって」使えるようになるために、前提として理解しておくといいことをまとめました。
| 比例・反比例(小学6年〜中学1年) |
|
| オームの法則(中学2年 理科) |
|
| 百分率(小学5年) |
|
| 平方根(中学3年) |
|
Excelで計算する方法
| こう長 L(m) | 10 |
| 電流 I(A) | 15 |
| 断面積 A(mm²) | 2 |
| 電圧降下 e(V) | =35.6*B1*B2/(1000*B3) |
| こう長 L(m) | 50 |
| 電流 I(A) | 30 |
| 断面積 A(mm²) | 5.5 |
| 電圧降下 e(V) | =30.8*B1*B2/(1000*B3) |
| こう長 L(m) | 20 |
| 電流 I(A) | 10 |
| 断面積 A(mm²) | 2 |
| 電圧降下 e(V) | =17.8*B1*B2/(1000*B3) |
| 方式の係数 K | 2 |
| 電流 I(A) | 40 |
| 1mあたりの抵抗 R(Ω/m) | 0.0012 |
| こう長 L(m) | 100 |
| 電圧降下 e(V) | =B1*B2*B3*B4 |
| 電圧降下 e(V) | 2.67 |
| 電源電圧 V(V) | 100 |
| 電圧降下率(%) | =B1/B2*100 |
1つ目の表なら、B4に2.67(V)と表示されます。2つ目は8.4(V)、3つ目は1.78(V)、4つ目は9.6(V)、5つ目は2.67(%)になります。
B列の数値を自分の回路の値に書き換えるだけで使えます。三相3線式・単相3線式は係数(35.6の部分)が違うだけで、表の形は同じです。
Googleスプレッドシートで計算する方法
| こう長 L(m) | 10 |
| 電流 I(A) | 15 |
| 断面積 A(mm²) | 2 |
| 電圧降下 e(V) | =35.6*B1*B2/(1000*B3) |
| こう長 L(m) | 50 |
| 電流 I(A) | 30 |
| 断面積 A(mm²) | 5.5 |
| 電圧降下 e(V) | =30.8*B1*B2/(1000*B3) |
| こう長 L(m) | 20 |
| 電流 I(A) | 10 |
| 断面積 A(mm²) | 2 |
| 電圧降下 e(V) | =17.8*B1*B2/(1000*B3) |
| 方式の係数 K | 2 |
| 電流 I(A) | 40 |
| 1mあたりの抵抗 R(Ω/m) | 0.0012 |
| こう長 L(m) | 100 |
| 電圧降下 e(V) | =B1*B2*B3*B4 |
| 電圧降下 e(V) | 2.67 |
| 電源電圧 V(V) | 100 |
| 電圧降下率(%) | =B1/B2*100 |
Pythonで計算する方法
coefficient = 35.6 # 電気方式の係数(単相2線式・直流=35.6、三相3線式=30.8、単相3線式・三相4線式=17.8)
length_m = 10 # こう長(電線の片道の長さ・m)
current_a = 15 # 電流(A)
area_mm2 = 2 # 電線の断面積(mm²)
source_voltage = 100 # 電源電圧(V)
voltage_drop = coefficient * length_m * current_a / (1000 * area_mm2) # 電圧降下(V)
drop_rate = voltage_drop / source_voltage * 100 # 電圧降下率(%)
end_voltage = source_voltage - voltage_drop # 終端(負荷側)の電圧(V)
print(f"電圧降下: {voltage_drop} V")
print(f"電圧降下率: {drop_rate} %")
print(f"終端の電圧: {end_voltage} V")
数式記述言語(LaTeX等)での書き方(コピペ可)
e = 35.6 × L × I ÷ (1000 × A)
e = \dfrac{35.6 L I}{1000 A}
<math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML" display="block">
<mrow>
<mi>e</mi>
<mo>=</mo>
<mfrac>
<mrow><mn>35.6</mn><mi>L</mi><mi>I</mi></mrow>
<mrow><mn>1000</mn><mi>A</mi></mrow>
</mfrac>
</mrow>
</math>
e = (35.6 L I)/(1000 A)
35.6*l*i/(1000*a)
e := 35.6*l*i/(1000*a);
e = 35.6*L*I/(1000*A);
e = (35.6 L I)/(1000 A)
e = 30.8 × L × I ÷ (1000 × A)(三相3線式), e = 17.8 × L × I ÷ (1000 × A)(単相3線式・三相4線式)
e = \dfrac{30.8 L I}{1000 A}, \quad e = \dfrac{17.8 L I}{1000 A}
<math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML" display="block">
<mrow>
<mi>e</mi>
<mo>=</mo>
<mfrac>
<mrow><mn>30.8</mn><mi>L</mi><mi>I</mi></mrow>
<mrow><mn>1000</mn><mi>A</mi></mrow>
</mfrac>
</mrow>
</math>
<math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML" display="block">
<mrow>
<mi>e</mi>
<mo>=</mo>
<mfrac>
<mrow><mn>17.8</mn><mi>L</mi><mi>I</mi></mrow>
<mrow><mn>1000</mn><mi>A</mi></mrow>
</mfrac>
</mrow>
</math>
e = (30.8 L I)/(1000 A), e = (17.8 L I)/(1000 A)
30.8*l*i/(1000*a) (* 三相3線式。単相3線式・三相4線式は 17.8*l*i/(1000*a) *)
e := 30.8*l*i/(1000*a); # 三相3線式。単相3線式・三相4線式は 17.8*l*i/(1000*a)
e = 30.8*L*I/(1000*A); % 三相3線式。単相3線式・三相4線式は e = 17.8*L*I/(1000*A);
e = (30.8 L I)/(1000 A), e = (17.8 L I)/(1000 A)
e = K × I × R × L
e = K I R L
<math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML" display="block">
<mrow>
<mi>e</mi>
<mo>=</mo>
<mi>K</mi>
<mi>I</mi>
<mi>R</mi>
<mi>L</mi>
</mrow>
</math>
e = K I R L
k*i*r*l
e := k*i*r*l;
e = K*I*R*L;
e = K I R L
ε = e ÷ V × 100
\varepsilon = \dfrac{e}{V} \times 100
<math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML" display="block">
<mrow>
<mi>ε</mi>
<mo>=</mo>
<mfrac>
<mi>e</mi>
<mi>V</mi>
</mfrac>
<mo>×</mo>
<mn>100</mn>
</mrow>
</math>
epsilon = e/V * 100
e/v*100
epsilon := e/v*100;
rate = e/V*100;
ε = (e/V) × 100
ChatGPT に聞いて計算してもらう方法
あなたは電気設備の計算アシスタントです。次の計算を、必ずPythonコードを実際に実行して行い、実行結果の数値だけを根拠に回答してください(暗算や推測で答えないでください)。 単相2線式・電源電圧100Vの回路で、銅線(断面積2mm²)を使い、こう長10m・負荷電流15Aです。 内線規程の簡略式 e = 35.6 × L × I ÷ (1000 × A) を使って、次の値をそれぞれ求めてください。 1. 電圧降下(V) 2. 電圧降下率(%) 3. 終端(負荷側)の電圧(V) 計算に使った式と、実行結果の数値を示してください。
計算ドリル(演習問題)
このページの式を、自分の手で計算できるようになるための演習問題です。
答えと解説は解答ページにあります。
使い方
-
1数値を入力計算したい数値を入力欄に入力します
-
2計算「計算する」ボタンを押します
-
3結果を確認計算結果がその場に表示されます。計算の考え方や式の解説も同じページで確認できます
DataChefの特徴
専門知識不要、直感的で簡単な操作
個人情報を登録することなく使用できます
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クレジット表記不要
商用利用許諾の連絡も不要です
