調べたいことに合わせてモードを選び、調査の結果を入力してください。「標識再捕獲法」は池の魚などの全体の数を、「母集団の中の該当数の推定」は全体の中にある該当数(不良品の総数など)を推定します。
このページでできること
- 池の魚のように「全部は数えられない集団」の総数を、標識再捕獲法(標識を付けて放し、もう一度捕まえて標識の割合を調べる方法)で推定できます
- 母集団全体の個数がわかっているとき(例:製品 3000 個)、無作為に取り出した標本の結果(例:100 個中 2 個が不良品)から、母集団の中の該当数(全体の不良品の数)を推定できます
- 中学3年の教科書と同じ、比例式(内項の積=外項の積)の途中式付き。答えは割り算の厳密値(分数)と「約 ◯」の概数の両方で表示します
- 「標本の中の割合」と「母集団の中の割合」が同じであることを、帯グラフで見比べられます
この計算は何の役に立つ?
池の魚・山の鹿・湖の外来魚など、「全部は数えられない生き物の数」の調査では、このページの標識再捕獲法が実際に使われています。水産資源の管理や外来種対策では、生息数の推定値が捕獲量や対策の規模を決める基礎データになります。
ただしこの方法は、「標識が取れない」「調査の間に個体の出入り(生まれる・死ぬ・移動する)が少ない」「標識を付けた個体が全体によく混ざる」といった条件がそろっていることが前提で、実際の調査では時期や方法を工夫してこの前提に近づけています。
電池の寿命試験や缶詰の中身の検査のように「調べると製品が壊れる・売り物にならなくなる」検査は、全数調査ができません。そこで標本を無作為に抜き取って調べ、その中の不良品の割合から、全体の不良品の数を推定します。
標本100個中の不良2個から「全体ではおよそ60個」と見積もる形の計算は、品質管理の最も基本的な道具の1つです。
「内閣支持率」などの世論調査は、日本の有権者全体を調べているわけではなく、無作為に選んだ千人〜数千人規模の標本への調査から全体の割合を推定しています。テレビの視聴率も、調査対象になった世帯という標本から、全体の視聴の割合を推定した数値です。
標本が無作為に選ばれてさえいれば、少ない標本でも全体をかなり正確に推定できるのが標本調査の力です(誤差がどの程度になるかは標本の大きさで決まります)。実際の調査では、地域や年代の偏りを防ぐための工夫(対象の割り付けや補正など)も組み合わされていますが、土台にあるのは「標本の割合から全体を推定する」この考え方です。
開票率がまだ数パーセントの段階で「当選確実」の速報が出るのは、出口調査(投票を終えた人への聞き取り)や開票済みの一部の票という標本から、全体の得票の割合を推定しているからです。
標本の中の割合を全体に当てはめて見積もる考え方は、このページの比例式の計算と同じ発想です。実際の当確判定では、過去の選挙のデータや統計の理論も組み合わせて慎重に判断されています。
式とグラフ
用語・記号の解説
記号
| \(x\) | エックス | まだわかっていない数(未知数)を表すのに使う文字。このページでは「池全体の数」「母集団の中の該当数」のような、求めたい推定値を \(x\) とおいて比例式を立てます。未知数に \(x\) を使う習慣は、古い数学書の翻訳に由来するといわれます。 |
| \(m\) | エム | このページでは「最初に捕まえて標識を付けた数」。標識を意味する英語 mark の頭文字と覚えると思い出しやすい文字です。個数を表す文字として、\(n\) と対でもよく使われます。 |
| \(n\) | エヌ | 標本の個数(2回目に捕まえた数・取り出して調べた個数)。number(数)の頭文字で、個数を表す文字の定番です。統計では「標本の大きさ(サンプルサイズ)」を \(n\) と書く慣例があります。 |
| \(k\) | ケー | 標本の中で該当した個数(標識付きの数・不良品の数など)。個数や番号を表す文字として、\(n\)・\(m\) と並んでよく使われます。 |
| \(N\) | エヌ(大文字) | 母集団全体の個数。標本の個数の \(n\)(小文字)と区別するため、大きい方の集団を大文字で書く統計の慣例です。 |
| \(a : b\) | エー たい ビー | 比を表す書き方。「:」は比の記号で「対」と読みます。\(a : b = c : d\) のように2つの比を等号で結んだ式が比例式です。 |
| \(\fallingdotseq\) | ニアリーイコール | 「ほぼ等しい」ことを表す記号。「約」「およそ」と読むこともあります。標本調査の答えは推定値なので、等号ではなくこの記号や「約」を使って表します。 |
用語
| 標本調査 | ひょうほんちょうさ | 母集団の一部(標本)だけを調べて、全体のようすを推定する調査。全部は数えられないもの・調べると壊れてしまうものに使います。中学3年の「データの活用」で学びます。 |
| 全数調査 | ぜんすうちょうさ | 母集団の全部をもれなく調べる調査。国勢調査や学校の健康診断がその例です。全部を調べられるなら正確ですが、手間や費用が大きいときや、調べると製品が壊れてしまうときは標本調査を選びます。 |
| 母集団 | ぼしゅうだん | 調べたい集団全体のこと。池の魚全部、工場で作った製品全部、日本の有権者全体などです。 |
| 標本 | ひょうほん | 母集団から取り出して、実際に調べる一部分。サンプルともいいます。 |
| 標本の大きさ | ひょうほんのおおきさ | 標本に含まれる個数(サンプルサイズ)。標本の大きさが大きいほど、推定の誤差は小さくなっていきます。 |
| 無作為抽出 | むさくいちゅうしゅつ | くじ引きのように、どれも同じ確率で選ばれるようにして標本を取り出すこと。「作為(わざと選ぶこと)が無い」という意味で、標本調査の推定が成り立つための大前提です。 |
| 標識再捕獲法 | ひょうしきさいほかくほう | 捕まえた個体に標識(目印)を付けて放し、時間をおいてもう一度捕まえて、標識の割合から全体の数を推定する方法。魚や野生動物の生息数の調査で実際に使われています。 |
| 比例式 | ひれいしき | \(a : b = c : d\) のように、2つの比が等しいことを表す式。「内項の積=外項の積」という性質があり、わからない数を求めるのに使えます。 |
| 内項 | ないこう | 比例式 \(a : b = c : d\) の内側にある \(b\) と \(c\) のこと。内項の積と外項の積は等しくなります。 |
| 外項 | がいこう | 比例式 \(a : b = c : d\) の外側にある \(a\) と \(d\) のこと。内項の積と外項の積は等しくなります。 |
| 割合 | わりあい | 全体の中で、その部分が占める大きさ。比べられる量を、もとにする量で割って求めます。標本調査は「割合は母集団でも標本でも同じ」という考え方で成り立っています。 |
| 概数 | がいすう | およその数。四捨五入などで、切りのよい位までにした数です。標本調査の答えは推定値なので、「約 250」のような概数で答えるのが標準です。 |
| 四捨五入 | ししゃごにゅう | ある位までの概数にするとき、その1つ下の位の数字が 4 以下なら切り捨て、5 以上なら切り上げる方法です。 |
| 推定 | すいてい | わかっている一部の情報から、全体のようすを見積もること。標本調査で求めた答えは、この意味で「推定値」と呼びます。 |
| 誤差 | ごさ | 推定値と実際の値のずれ。標本調査の結果には必ず誤差があり、標本の大きさを大きくするほど誤差は小さくなっていきます。 |
前提として理解しておくといいこと
このページの計算を「意味がわかって」使えるようになるために、前提として理解しておくといいことをまとめました。
つまずいたら、この表の内容に戻って復習するのが近道です。
| 割合(小学5年) |
|
| 比と比例式(小学6年〜中学1年) |
|
| 文字式と一次方程式(中学1年) |
|
| 概数と四捨五入(小学4年) |
|
Excelで計算する方法
| 最初に標識を付けた数 m | 50 |
| 2回目に捕まえた数 n | 30 |
| そのうち標識付きの数 k | 6 |
| 全体の数の推定値 x = m×n÷k | =B1*B2/B3 |
| 小数第一位を四捨五入した概数 | =ROUND(B4,0) |
| 外項 a(全体の数。池の例の答え) | 250 |
| 内項 b(標識を付けた数) | 50 |
| 内項 c(2回目に捕まえた数) | 30 |
| 外項 d(そのうち標識付きの数) | 6 |
| 内項の積 b×c | =B2*B3 |
| 外項の積 a×d | =B1*B4 |
| 母集団全体の個数 N | 3000 |
| 取り出した標本の個数 n | 100 |
| 標本の中の該当した個数 k | 2 |
| 該当数の推定値 x = N×k÷n | =B1*B3/B2 |
| 小数第一位を四捨五入した概数 | =ROUND(B4,0) |
1つ目の表は池の魚の例(標識50匹・再捕獲30匹中6匹)で、答えは 250 になります。割り切れないときは B4 に小数が出るので、ROUND関数(四捨五入)を通した B5 を「約◯」の答えとして読んでください。
2つ目の表は比例式 x : 50 = 30 : 6 の x に答えの 250 を入れて、内項の積(B5)と外項の積(B6)がどちらも 1500 で等しくなることを確かめる表です。
3つ目の表は製品3000個・標本100個中2個が不良品の例で、答えは 60 になります。
Googleスプレッドシートで計算する方法
| 最初に標識を付けた数 m | 50 |
| 2回目に捕まえた数 n | 30 |
| そのうち標識付きの数 k | 6 |
| 全体の数の推定値 x = m×n÷k | =B1*B2/B3 |
| 小数第一位を四捨五入した概数 | =ROUND(B4,0) |
| 外項 a(全体の数。池の例の答え) | 250 |
| 内項 b(標識を付けた数) | 50 |
| 内項 c(2回目に捕まえた数) | 30 |
| 外項 d(そのうち標識付きの数) | 6 |
| 内項の積 b×c | =B2*B3 |
| 外項の積 a×d | =B1*B4 |
| 母集団全体の個数 N | 3000 |
| 取り出した標本の個数 n | 100 |
| 標本の中の該当した個数 k | 2 |
| 該当数の推定値 x = N×k÷n | =B1*B3/B2 |
| 小数第一位を四捨五入した概数 | =ROUND(B4,0) |
Pythonで計算する方法
from fractions import Fraction
# 標識再捕獲法:池全体の数の推定
marked_first = 50 # 最初に捕まえて標識を付けた数 m
caught_second = 30 # 2回目に捕まえた数 n
marked_in_second = 6 # そのうち標識が付いていた数 k
estimated_total = Fraction(marked_first * caught_second, marked_in_second)
# Fraction(1, 2) を足して切り捨てると、0.5を必ず切り上げる四捨五入になる
approx_total = int(estimated_total + Fraction(1, 2))
print(f"全体の数の推定値(分数): {estimated_total}")
print(f"全体の数の推定値(概数): 約{approx_total}")
# 母集団の中の該当数の推定
population = 3000 # 母集団全体の個数 N
sample_size = 100 # 取り出した標本の個数 n
sample_hits = 2 # 標本の中の該当した個数 k
estimated_count = Fraction(population * sample_hits, sample_size)
approx_count = int(estimated_count + Fraction(1, 2))
print(f"該当数の推定値(分数): {estimated_count}")
print(f"該当数の推定値(概数): 約{approx_count}")
数式記述言語(LaTeX等)での書き方(コピペ可)
x = m × n ÷ k
x = \dfrac{m \times n}{k}
<math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML" display="block">
<mrow>
<mi>x</mi>
<mo>=</mo>
<mfrac>
<mrow><mi>m</mi><mo>×</mo><mi>n</mi></mrow>
<mi>k</mi>
</mfrac>
</mrow>
</math>
x = (m*n)/k
(m*n)/k
x := m*n/k;
x = m*n/k;
x = (m×n)/k
a : b = c : d ⇔ a × d = b × c
a : b = c : d \iff ad = bc
<math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML" display="block">
<mrow>
<mi>a</mi><mo>:</mo><mi>b</mi>
<mo>=</mo>
<mi>c</mi><mo>:</mo><mi>d</mi>
<mo>⇔</mo>
<mi>a</mi><mi>d</mi>
<mo>=</mo>
<mi>b</mi><mi>c</mi>
</mrow>
</math>
a : b = c : d <=> a*d = b*c
a*d == b*c
a*d = b*c;
a*d == b*c
a : b = c : d ⇔ a×d = b×c
x = N × k ÷ n
x = \dfrac{N \times k}{n}
<math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML" display="block">
<mrow>
<mi>x</mi>
<mo>=</mo>
<mfrac>
<mrow><mi>N</mi><mo>×</mo><mi>k</mi></mrow>
<mi>n</mi>
</mfrac>
</mrow>
</math>
x = (N*k)/n
(N*k)/n
x := N*k/n;
x = N*k/n;
x = (N×k)/n
ChatGPT に聞いて計算してもらう方法
あなたは数学(中学の標本調査)の計算アシスタントです。次の計算を、必ずPythonコードを実際に実行して行い、実行結果の数値だけを根拠に回答してください(暗算や推測で答えないでください)。 池にいる魚の総数を標識再捕獲法で推定します。 最初に50匹を捕まえて標識を付けて池に戻し、後日30匹を捕まえたところ、6匹に標識が付いていました。 次の内容をそれぞれ示してください。 1. 全体の数を x とした比例式(x : 標識の数 = 2回目に捕まえた数 : そのうち標識付きの数) 2. 内項の積=外項の積で解く途中式 3. 池全体の数の推定値(割り切れない場合は約分済みの分数と、一の位まで四捨五入した概数の両方で) Pythonでは標準ライブラリの fractions モジュールを使って厳密に計算し、計算に使った式と実行結果の数値を示してください。
計算ドリル(演習問題)
このページの計算を、自分の手でできるようになるための演習問題です。
答えと解説は解答ページにあります。
使い方
-
1数値を入力計算したい数値を入力欄に入力します
-
2計算「計算する」ボタンを押します
-
3結果を確認計算結果がその場に表示されます。計算の考え方や式の解説も同じページで確認できます
DataChefの特徴
専門知識不要、直感的で簡単な操作
個人情報を登録することなく使用できます
「ダウンロード」押下でファイルを自動削除
クレジット表記不要
商用利用許諾の連絡も不要です
